緑内障の新薬
2014/12/21
緑内障の新薬である「グラナテック点眼液0.4%」が発売となります。
新聞等でも取り上げられていたので、ご存知の方も多いかと思います。
患者さんに「新薬が出るそうなので、これでもう私の緑内障は治るのですか?」と聞かれることがありますが、これで緑内障が治るわけではありません。
しかし、これまでになかった新しい経路での眼圧下降作用のため、これまでの点眼液と併用して更なる眼圧下降を期待することができます。
我々緑内障を専門とする医師もとても期待している点眼薬です。患者さんによってはこの点眼によって手術を回避することができることも十分考えられます。
しかし、いい面ばかりではなく、下の写真のような充血がかなりの確率で出現します。
下の写真は私が左眼に点眼したものです。(患者さんがさした時の気持ちが少しでもわかるように、点眼薬はなるべく自分で使ってから患者さんに処方してます)
直後から強い充血が見られますが、1時間後にはそれほど気にならない程度まで戻りました。充血に対して十分理解したうえで使う必要があります。
また、点眼の本数が増えるということはそれだけ患者さんの負担が大きくなり、点眼を忘れる可能性も高くなります。
いくら良い点眼があっても、どうしても手術が必要な患者さんもおり、手術の適切なタイミングを逃してしまう可能性もあるかもしれません。
緑内障の唯一確立された治療方法は、眼圧下降のみです。それには点眼薬、レーザー治療、手術治療があります。すべての治療法のメリットとデメリットを理解し、その患者さんにとって その時点でもっともよいと思われる治療を提供し、長い目で患者さんと一緒に、緑内障に向き合っていく必要があると思います。
この新しいお薬が患者さんの治療の選択肢を広げ、視機能を少しでも維持できることを期待しています。
緑内障を専門とし手術まで行う医師として、常に新しい情報に目を向け、日々の緑内障診療に活かしていくよう努力してまいります。
前田 征宏
まえだ眼科 公式ホームページ
http://maedaganka.jp